ポドプラニン関連のトピックス

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  • 2006/6/25(日)

    ヒトリンパ管内皮細胞の不死化について

    様々な研究室により、ヒトリンパ管内皮細胞の不死化が行われている。ヒトパピローマウイルス由来のE6, E7やテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子(hTERT)をリンパ管内皮細胞に導入するという手法が取られている。(ヒトパピローマウイルス由来E6, E7について:解説1 解説2 解説3)。(テロメアについて:解説1)。

  • 2006/6/20(火)

    ポドプラニンの癌における発現量は患者の予後と相関するのか?あるいは逆相関するのか?それとも関係ない??

    これまでの報告で、様々な扁平上皮癌におけるポドプラニンの報告がされてきた。肺扁平上皮癌(Kato et al. Tumor Biol., 2005)、皮膚扁平上皮癌(Schacht et al., AJP 2005)、口腔内扁平上皮癌(Martin-Villar et al., Int. J. Cancer, 2005)、頭頸部扁平上皮癌(AACR, 2006; Cancer 2006)、子宮頚部扁平上皮癌(Dumoff et al., Modern Pathol., 2006)、食道扁平上皮癌(Wicki et al., Cancer Cell, 2006)など、様々な扁平上皮癌における発現が報告された。その中で、患者予後との相関関係を示した論文および学会報告は4つ程ある。まず、Dr.MaoらのグループがAACRにて、頭頸部扁平上皮癌におけるポドプラニンの発現と患者予後に正の相関があることを示した(AACR, 2006; Cancer 2006)。また、Dr.Acsらのグループは、子宮頚部癌において、ポドプラニンの発現と患者予後に負の相関があることを2報の論文(Dumoff et al., Modern Pathol., 2006)で示している。

  • 2006/7/1(土)

    ポドプラニンの頭頸部扁平上皮癌における発現とリンパ節転移や患者の予後は相関する

    Yuan P, Temam S, El-Naggar A, Zhou X, Liu DD, Lee JJ, Mao L. Overexpression of podoplanin in oral cancer and its association with poor clinical outcome. Cancer. 2006 Aug 1;107(3):563-9.(PubMed

    M.D. Anderson Cancer CenterのDr. Maoのグループは、頭頸部扁平上皮癌におけるポドプラニンの発現とリンパ節転移、患者の予後との相関関係を免疫組織学的染色(D2-40抗体)を用いて調べた。その結果、ポドプラニンの発現量とリンパ節転移、患者の予後には正の相関があることがわかり、ポドプラニンが頭頸部扁平上皮癌の予後マーカーであることを示唆した。

  • 2006/8/30(水)

    NZ-1抗体はポドプラニンによる血小板凝集を阻害する中和抗体である

    抗ポドプラニン抗体はいろいろ知られているが(抗ポドプラニン抗体の項目を参照)、ポドプラニンの血小板凝集を抑制する中和抗体は知られていなかった。今回、NZ-1抗体が様々な実験系に有用であるだけでなく、中和活性があることを示した。

    <その他の重要な点>
    ・マウスの大腸癌細胞株(colon 26)には、ポドプラニンの発現が見られているが、ヒト大腸癌にはポドプラニンは発現していない。(もし、免疫組織染色で反応する抗体があれば、それはnon-specificな反応である。)
    ・マウスのメラノーマ細胞株(B16-F10)にはポドプラニン発現が見られているが、ヒトメラノーマにはポドプラニンは発現していない。

    Kato Y., Kaneko MK., Kuno A., Uchiyama N., Amano K., Chiba Y., Hasegawa Y., Hirabayashi J., Narimatsu H., Mishima K., Osawa M. Inhibition of tumor cell-induced platelet aggregation using a novel anti-podoplanin antibody reacting with its platelet- aggregation-stimulating domain. BBRC, in press.(BBRC, in press)

  • 2006/8/30(水)

    D2-40抗体(抗ポドプラニン抗体)がリンパ管の同定に有用

    抗ポドプラニン抗体であるD2-40が、リンパ管の同定に有用であることを示す論文がさらに続々と登場。

    Okudera K, Kamata Y, Takanashi S, Hasegawa Y, Tsushima T, Ogura Y, Nakanishi K, Sato H, Okumura K.

    Small adenocarcinoma of the lung: Prognostic significance of central fibrosis chiefly because of its association with angiogenesis and lymphangiogenesis. Pathol Int. 2006 Sep;56(9):494-502. (Pathol Int. 2006 Sep;56(9):494-502.)

    Fernandez-Aguilar S, Jondet M, Simonart T, Noel JC.

    Microvessel and lymphatic density in tubular carcinoma of the breast: Comparative study with invasive low-grade ductal carcinoma. Breast. 2006 Aug 22 (Breast. 2006 Aug 22)

    Yonemura Y, Endou Y, Tabachi K, Kawamura T, Yun HY, Kameya T, Hayashi I, Bandou E, Sasaki T, Miura M.

    Evaluation of lymphatic invasion in primary gastric cancer by a new monoclonal antibody, D2-40. Hum Pathol. 2006 Sep;37(9):1193-1199. (Hum Pathol. 2006 Sep;37(9):1193-1199)

  • 2006/8/30(水)

    D2-40抗体(抗ポドプラニン抗体)によって、kaposiform hemangioendotheliomaとtufted angiomaが鑑別できる

    Arai E, Kuramochi A, Tsuchida T, Tsuneyoshi M, Kage M, Fukunaga M, Ito T, Tada T, Izumi M, Shimizu K, Hirose T, Shimizu M.

    Usefulness of D2-40 immunohistochemistry for differentiation between kaposiform hemangioendothelioma and tufted angioma. J Cutan Pathol. 2006 Jul;33(7):492-497. (J Cutan Pathol. 2006 Jul;33(7):492-497.)

  • 2006/8/24(木)

    ヒト腎におけるリンパ管に関する解析

    Histopathologyにヒト腎におけるリンパ管に関する解析の論文が掲載された。マーカーとして、D2-40抗体(抗ポドプラニン抗体)が用いられている。これまで、移植腎の生検サンプルを用いたリンパ管の研究に関する報告はあるが(Kerjaschki et al., J. Am. Soc. Nephrol. 2004; 15; 603-642)、正常腎を使って詳細なリンパ管の解析の論文としては初めての報告である。

    Ishikawa, Y. et al., The human renal lymphatics under normal and pathological conditions. Histopathology. 2006 Sep;49(3):265-73. (Histopathology. 2006 Sep;49(3):265-73.)

  • 2006/8/7(月)

    本ホームページがimmu~no(いむーの;北海道大学病院病理部、診断病理・免疫組織化学総合データベース)で紹介

    <2006.8.7 免疫染色を用いた中皮腫と肺原発性腺癌の鑑別~Ordonezの論文より>にpodoplaninに対するリンクを追加(いむーの

  • 2006/9/9(土)

    リンパ管内皮細胞マーカー抗体 ポドプラニン抗体NZ-1がコスモバイオのHPに紹介

    <コスモバイオのHPから>ポドプラニン(podoplanin)は、リンパ管内皮細胞マーカーとしてよく知られており、血管からリンパ管を確実に見分けるために用いられます。本抗体は、ヒトのポドプラニンに対するラットモノクローナル抗体(NZ-1, IgG2a)で、ホルマリン固定パラフィン包埋切片の免疫組織化学染色に適しています。したがって、ヒト腫瘍内及びその周辺のリンパ管濃度の研究ツールとして有用です。フローサイトメトリーを用いたソーティングにも使用できます。

    リンパ管内皮細胞マーカー抗体 ポドプラニン抗体NZ-1

  • 2006/10/13(金)

    Podoplanin(NZ-1, D2-40)がimmu~no(いむーの;北海道大学病院病理部、診断病理・免疫組織化学総合データベース)に登録

    Podoplanin(ポドプラニン:リンパ管内皮細胞マーカー)

    ポドプラニン(podoplanin)は、リンパ管内皮細胞マーカーとしてよく知られており、血管からリンパ管を確実に見分けるために用いられる。

    ポドプラニンは様々な研究グループによって別々にクローニングされ、様々な名前が付いている。また、D2-40のように、抗体が先に作られ、後からその抗原がポドプラニンと同じであることがわかった例もある。D2-40は抗ポドプラニン抗体の名前であり、その抗原はM2Aという名前で呼ばれていた。以下のように整理して頂きたい。

    抗体名anti-podoplanin(抗原名podoplanin);AngioBioから販売

    抗体名NZ-1(抗原名Aggrus);AngioBioから販売

    抗体名D2-40(抗原名M2A);Signet labなどから販売

    これらの名前が混乱して使用されているが、リンパ管内皮細胞マーカーとして有用なのは、あくまで"podoplanin"である。各グループから遺伝子がクローニングされたが、現在は"podoplanin"という名前で統一されている。<D2-40とpodoplaninの比較>というような病理の論文が今でも見られるが、これらは全く同じ蛋白に対して、違う抗体を用いて評価しているだけである。

    一般論になるが、抗原が未知のものに対する抗体が有用性の高い抗体の場合は抗体の名前をマーカー名として用いても良いが、ポドプラニンのように抗原がはっきり判明したものに関しては、混乱を避けるために抗原名で呼ぶべきである。

    いむーの;Podoplanin(ポドプラニン:リンパ管内皮細胞マーカー)

  • 2006/10/10(火)

    D2-40抗体(抗原はpodoplanin(別名;M2A))が脊索腫と軟骨腫瘍を鑑別するのに有用である

    D2-40抗体(抗原はポドプラニン)が脊索腫と軟骨腫瘍の鑑別に有用であることがActa Neuropathol.に紹介された。脊索腫とlow-gradeの軟骨肉腫の鑑別はしばしば困難である。これまで、S100やPANCKなど、軟骨肉腫で陰性、脊索腫で陽性というマーカーの報告はあったが、軟骨肉腫で陽性、脊索腫で陰性というマーカーの報告がなかった。D2-40は100%の内軟骨腫、94%の軟骨肉腫(grade I,II)を染色したが、脊索腫は全く染色しなかった。ポドプラニンが様々な肉腫で陽性であるが、軟骨肉腫での解析を行ったのは初めてである。

    Huse JT, Pasha TL, Zhang PJ. D2-40 functions as an effective chondroid marker distinguishing true chondroid tumors from chordoma. Acta Neuropathol (Berl). 2006 Sep 26; [Epub ahead of print]

    (Huse et al., PubMed)

  • 2006/11/8(水)

    ポドプラニンはERM(ezrin, radixin, moesin)と直接結合し、RhoAを活性化することにより上皮間葉転換(EMT)を引き起こす。

    ポドプラニンがERMと細胞先端にて共存することが知られていたが、今回、ポドプラニンの細胞内ドメインとERMが直接結合することが明らかとなった。特に、細胞内ドメインのRK(アルギニン、リジン)の2つの塩基性アミノ酸がその結合に重要である。ポドプラニンはRhoAを活性化し、EMTを引き起こすことにより、細胞の運動・浸潤を増加させる。今回用いられている細胞は、MDCK(type II)であり、内在性のポドプラニンは発現していない。(MDCK type Iは内在性のポドプラニンが発現している。)

    今回の報告は、ポドプラニン発現がRhoA, Rac 1, Cdc42を不活性化し、MCF7(乳癌細胞)のcollective migration に関与しているというWickiらの報告(Cancer Cell, 2006)と相反する結果である。
    (Martin-Villar et al., JCS, 2006)

  • 2006/12/24(日)

    ポドプラニンの糖鎖構造の全貌が明らかになる。Functional glycosylation of human podoplanin: glycan structure of platelet aggregation-inducing factor. FEBS letters, in press.

    Podoplanin/Aggrusの血小板凝集活性部位(PLAG domain)の詳細な糖鎖構造解析を行った。抗ヒトpodoplanin抗体(NZ-1)を用いて、内在性のヒトpodoplaninの精製に初めて成功した。ヒトpodoplaninのPLAG domainには、数カ所のSer/Thr(O-結合型糖鎖の付加部位)が存在するが、実際にはThr52のみにO-結合型糖鎖が付加していた。その構造はdisialyl-core1(NeuAcα2-3Galβ1-3(NeuAcα2-6)GalNAcα1-O-Thr)であった。以前の研究で、Thr52に変異を入れると血小板凝集活性が消失したが、PLAG domainの他のSer/Thr(Thr32, Thr34, Thr35, Thr55, Ser56)に付加した糖鎖も血小板凝集活性に関わっているかどうかが不明であった。まず、Edman分解法により、N末がAla23であることがわかり、予想されていたよりもPLAG domainがN末端に近いことがわかった。さらに糖鎖付加部位を決定したところ、Thr32, Thr34, Thr35, Thr55, Ser56には糖鎖が付加されておらず、Thr52のみに糖鎖が付加されていることがわかった。23-57 a.aの糖ペプチドをMSによって解析したところ、disialyl-core1構造があることを証明した。(FEBS, in press)