抗体創薬研究セミナー (過去)


  • 第13回 抗体創薬研究セミナー
    日時:令和3年12⽉15⽇(水)15時から
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:順天堂⼤学 GAUDI
       弁理士 赤堀浩司 先⽣
    タイトル:『新型コロナウイルス感染者数の数理モデル』

  • 第12回 抗体創薬研究セミナー
    日時:令和3年11月30日(火)午後3時~午後3時半
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:東京理科⼤学 薬学部 薬学科
        教授 野⼝ 耕司 先生
    タイトル:『新型コロナウイルスに対する感染分子標的学研究のはじめ』

  • 第11回 抗体創薬研究セミナー
    日時:令和3年8月27日(金)午後1時~午後1時半
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:山形大学医学部整形外科講座/薬理学講座
        助教 丸山 真博 先生
    タイトル:『大腿骨頭壊死に対する再生医療ーimmunomodulationを介した細胞治療の効果ー』

  • 第10回 抗体創薬研究セミナー
    日時:令和3年8月6日(金) 午後2時~午後3時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:岡⼭⼤学⼤学院医⻭薬学総合研究科 口腔機能解剖学分野
        教授 沢 禎彦 先生
    タイトル:⼝腔感染症と糖尿病性腎症

  • 第9回 抗体創薬研究セミナー
    日時:令和3年7月16日(金) 午後1時~午後2時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:微生物化学研究所
        主任研究員 大石 智一 先生

  • 第8回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成31年7月4日(木) 午後4時~午後5時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:千葉大学大学院理学研究院 化学研究部門
        教授 村田 武士 先生
    タイトル:『創薬に向けた膜タンパク質耐熱化法の開発』

    <要旨>
    膜タンパク質は重要な創薬標的であり、市販医薬品の50%以上が膜タンパク質に作用することが知られている。副作用が少なく、効果の高い薬剤の設計・改良のために、創薬標的となるタンパク質の立体構造に基づいた医薬分子設計が有効であることが示されている.しかし、一般に膜タンパク質は熱安定性が低くいため、精製中に変性し大量生産が難しい場合が多い。このため、水溶性タンパク質に比べ膜タンパク質の立体構造解析研究が遅れていた。
     そこで、膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸置換を理論的に予測する手法を開発した。本手法では「生体膜を形成するリン脂質の炭化水素鎖の熱運動に関連するエントロピーが熱安定性を決定づける最も重要な因子である」という全く新しい考え方を導入した。膜タンパク質の結晶構造情報を用いて、1つのアミノ酸置換に伴うタンパク質分子内静電相互作用エネルギーと上記エントロピーの変化を液体の統計力学理論と形態計測学的アプローチの統合型方法論により計算した。それを置換すると熱安定化に繋がる可能性が最も高いと予測された鍵残基を選び、変異体を実験的に検証したところ、その的中率は60%を誇り、変性温度が10度上昇する1置換体や17度上昇する2置換体が得られた(論文[1-3];特許第6359656号;PCT/JP2015/068277)。立体構造未知の膜タンパク質に対しては、ホモロジーモデリングを用いてそれを予測して本手法を適応し、的中率は低下するが、幾つかの膜タンパク質の熱安定化を実際に達成している。得られた熱安定化変異体を用いて新たに結晶構造解析に成功した例も出てきている(論文[4,5])。本講演では、ヒト膜受容体の大量生産方法の世界的現状を紹介し、本開発技術の有用性と課題について議論したい。

    参考文献 
    [1] J. Phys. Chem. B, 120, 3833-3843, 2016
    [2] J. Phys. Chem. B, 121, 6341-6350, 2017
    [3] J. Phys. Chem. B, 122, 4418-4427, 2018
    [4] Nat. Chem. Biol., 14, 1150-1158, 2018
    [5] Nat. Chem. Biol., 15, 18-26, 2019

  • 第7回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成31年4月22日(月) 午後3時~午後4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:微生物化学研究所 沼津支所
        主任研究員 大石 智一 先生
    タイトル:『肝臓間質細胞分泌因子を創薬標的とした大腸がん肝転移の抑制』

    <要旨>
     わが国において罹患率が1位である大腸がんの転移は肝臓で最も多くみられ、大腸がん肝転移後の患者の予後は極めて不良であることから、新たな治療法の開発が望まれています。1889年に英国のPaget博士が提唱した「Seed and Soil説」によると、がんの転移にはがん細胞自体の性質のみならず、転移先臓器における微小環境が極めて重要であることが知られています。我々は、大腸がんの肝転移に肝臓間質細胞の関与を疑って検討を行い、肝臓間質細胞分泌因子の関与を見出しました。本講演では、同分泌因子を創薬標的とした大腸がん肝転移の新規治療法の開発について報告させていただきます。

  • 第6回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成31年3月26日(火) 午後3時~午後4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:北海道大学大学院 獣医学研究院 獣医学部門 病原制御学分野 感染症学教室 
        准教授 今内 覚 先生
    タイトル:『動物難治性疾病に対する創薬研究』

    <要旨>
     感染免疫・腫瘍免疫において病原体や腫瘍を排除する活性化リンパ球は、『免疫チェックポイント』によって制御され過剰な免疫応答が抑えられている。この免疫チェックポイントは、種々の免疫制御(抑制)因子によって制御され、恒常性が保たれている。しかし一方で、慢性感染症を含む難治性疾病では、種々の免疫制御因子の暴走が、病態の進行および維持に関連することが示唆され、感染細胞や腫瘍細胞が排除されない免疫回避機序の一因であることが示されている。このような慢性感染症や腫瘍疾患ではProgrammed death 1 (PD-1) に代表される免疫抑制受容体が、エフェクター細胞上で発現が上昇し、それぞれのリガンドと結合することでエフェクター細胞の免疫疲弊化を誘発し、細胞増殖能、サイトカイン産生能、細胞傷害機能を著しく低下させている。
     免疫異常(不全)を呈する動物の疾患は多いが、機序についてはほとんど明らかでない。我々は北海道大学に寄せられた家畜や伴侶動物(ペット)の臨床検体等を用いて、疾病横断的に難治性疾病の病態発生機序の解析を行ってきた。その結果、難治性疾病の病態進行にはPD-1などの免疫抑制受容体が深く関与すること、また、これらに対する抗体により疲弊化した抗ウイルス免疫、抗細菌免疫、抗リケッチア免疫および抗腫瘍免疫が再活性化され、難治性疾病の制御法として利用できることを明らかにした。現在、生体を用いた臨床応用試験を実施中である。また、我々が樹立した抗体は、他種に交差反応を示すことから動物横断的な解析(水牛、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコなど)も行っている。
     本制御法の特徴は、エフェクター細胞を標的とすることから細胞増殖能をはじめ種々のサイトカインの誘導および細胞傷害機能など多機能的な効果により抗病原体効果や抗腫瘍効果を発揮することである。ヒトでは、2014年に日本発の免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ:商品名オプジーボ)として上市が開始され、PD-1発見者である本庶教授のノーベル賞受賞に至った。今後、獣医療への臨床応用も期待される。

  • 第5回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年10月1日(月)午後4時〜午後5時
    場所:臨床講義棟1階 第1ゼミナール室
    講師:名古屋大学大学高等研究院・大学院医学系研究科病態内科学講座呼吸器内科 S-YLC特任助教
       佐藤 和秀 先生
    演題:「近赤外光線免疫療法のメカニズムと、治療への応用展開」
    要旨:近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy; NIR-PIT)は抗体に近赤外光線応答細胞障害プローブをつけ、標的とする細胞のみを生体内から除去する画期的な治療法である。現在、米国でIV期EGFR高発現頭頚部がんに対してのPhaseIII試験が行われ、FDAよりFast Track指定を受けており、2018年4月から日本でも治験が開始されている。このように革新的な治療方法として注目されるが、その詳細なメカニズムは不明であった。本セミナーでは、明らかになりつつあるメカニズムと、胸部腫瘍へのNIR-PITの応用の可能性について発表をする予定です。

  • 第4回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年8月3日(金)午後3時〜午後4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講師:岡山大学医歯薬学総合研究科口腔機能解剖学分野・教授
       沢 禎彦 先生
    演題:ポドプラニン研究の新展開
    要旨:PDPNは正常組織では、リンパ管内皮、唾液腺筋上皮、胸膜や腹膜などの中皮、また骨細胞などが発現します。今回は、加藤研究室が開発したガン特異抗体LpMab-23が、組織学的悪性度YK分類などとともに、口腔扁平上皮癌の5年無病生存率の有用な予後予測因子である可能性について、札幌医大の宮崎晃亘准教授との共同研究を、また、骨芽細胞の骨形成が抗podoplanin抗体とCLEC2によって阻害されるという骨形成機構の新展開について北大の金井壮律助教との共同研究を報告します。

  • 第3回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年3月30日(金)午後5時~6時
    場所:東北大学医学部 5号館7階 リフレッシュルーム
    演者:微生物化学研究所 第1生物活性研究部 部長/沼津支所 支所長
       川田 学 先生
    タイトル:『低分子化合物によるがん-間質相互作用の調節:抗がん剤開発基礎研究』

    <要旨>
    がん組織はがん細胞だけでなく周辺の間質と混在する形で成り立っています。間質には様々な種類の細胞と細胞外マトリックスが含まれますが、私たちは中でも線維芽様細胞(間質細胞とも呼ぶ)に着目しました。なぜなら、間質細胞は分泌因子や接着などを介してがん細胞の増殖や転移を正にも負にも制御するからです。この間質細胞とがん細胞のやりとりをがん-間質相互作用と呼びますが、相互作用を調節することでがん細胞の増殖や転移を抑制できる可能性があることから、私たちは相互作用を調節する低分子化合物の探索を開始しました。従来の抗がん剤はがん細胞を直接攻撃するものですが、がん-間質相互作用を標的とした創薬は全く新しいタイプの抗がん剤の創生につながるのではと期待しています。本講演では、私たちがこれまでに発見したがん-間質相互作用を調節する低分子化合物とその作用機構の解析から得られた新たな標的分子などについて紹介させていただきます。

  • 第2回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成29年11月2日(木) 午後2時~午後3時
    場所:星陵会館2階・大会議室(医学部・生協の二階)
    講演者:北海道大学大学院 獣医学研究院 獣医学部門 病原制御学分野 感染症学教室 
        准教授 今内 覚 先生
    タイトル:『動物用バイオ医薬品の開発』

    <要旨>
     感染免疫・腫瘍免疫において病原体や腫瘍を排除する活性化リンパ球は、『免疫チェックポイント』によって制御され過剰な免疫応答が抑えられている。この免疫チェックポイントは、種々の免疫制御(抑制)因子によって制御され、恒常性が保たれている。しかし一方で、慢性感染症を含む難治性疾病では、種々の免疫制御因子の暴走が、病態の進行および維持に関連することが示唆され、感染細胞や腫瘍細胞が排除されない免疫回避機序の一因であることが示されている。このような慢性感染症や腫瘍疾患ではProgrammed death 1 (PD-1) に代表される免疫抑制受容体が、エフェクター細胞上で発現が上昇し、それぞれのリガンドと結合することでエフェクター細胞の免疫疲弊化を誘発し、細胞増殖能、サイトカイン産生能、細胞傷害機能を著しく低下させている。
     免疫異常(不全)を呈する動物の疾患は多いが、機序についてはほとんど明らかでない。我々は北海道大学に寄せられた家畜や伴侶動物(ペット)の臨床検体等を用いて、疾病横断的に難治性疾病の病態発生機序の解析を行ってきた。その結果、難治性疾病の病態進行にはPD-1などの免疫抑制受容体が深く関与すること、また、これらに対する抗体により疲弊化した抗ウイルス免疫、抗細菌免疫、抗リケッチア免疫および抗腫瘍免疫が再活性化され、難治性疾病の制御法として利用できることを明らかにした。現在、生体を用いた臨床応用試験を実施中である。また、我々が樹立した抗体は、他種に交差反応を示すことから動物横断的な解析(水牛、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコなど)も行っている。
     本制御法の特徴は、エフェクター細胞を標的とすることから細胞増殖能をはじめ種々のサイトカインの誘導および細胞傷害機能など多機能的な効果により抗病原体効果や抗腫瘍効果を発揮することである。ヒトでは、2014年に日本発の免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)として上市に至り、今なお種々の疾病に対する臨床治験が活発に行われている。今後、獣医療への応用も期待される。


  • 第1回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成29年8月4日(金)午後3時〜4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:岡山大学医歯薬学総合研究科口腔機能解剖学分野 教授 沢 禎彦 先生
    タイトル:ポドプラニンノックアウトマウスの硬組織形態形成について

    <要旨>
    脈管系の病理組織学領域で長い間重要な課題であったリンパ管鑑別マーカーの存在の有無は、今世紀初頭のpodoplanin(PDPN)の報告によって新しい局面を迎えました。すなわち、PDPNの腫瘍および腫瘍線維芽細胞における発現と分子標的薬としての可能性、および正常・病理組織における発現の機能的意義の解明で、前者は加藤研究室が世界をリードし、私たち解剖学者は後者を研究しています。PDPNは正常組織では、リンパ管内皮のほか、リンパ節線維芽細胞、唾液腺筋上皮、胸膜や腹膜などの中皮、また骨細胞など様々な細胞が発現します。今回は、ジーンターゲティングによって開発に成功したpodoplanin全身KOマウス、およびフロックスマウスとWnt1-Creマウスを応用した頭部神経堤外胚葉由来細胞のPDPN cKOマウス(Takara, PLoS One, 2017)の形態について、骨におけるPDPNの意義に関する幾つかの所見を合わせてお話しさせていただきます。