抗体創薬研究セミナー (過去)


  • 第5回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年10月1日(月)午後4時〜午後5時
    場所:臨床講義棟1階 第1ゼミナール室
    講師:名古屋大学大学高等研究院・大学院医学系研究科病態内科学講座呼吸器内科 S-YLC特任助教
       佐藤 和秀 先生
    演題:「近赤外光線免疫療法のメカニズムと、治療への応用展開」
    要旨:近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy; NIR-PIT)は抗体に近赤外光線応答細胞障害プローブをつけ、標的とする細胞のみを生体内から除去する画期的な治療法である。現在、米国でIV期EGFR高発現頭頚部がんに対してのPhaseIII試験が行われ、FDAよりFast Track指定を受けており、2018年4月から日本でも治験が開始されている。このように革新的な治療方法として注目されるが、その詳細なメカニズムは不明であった。本セミナーでは、明らかになりつつあるメカニズムと、胸部腫瘍へのNIR-PITの応用の可能性について発表をする予定です。

  • 第4回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年8月3日(金)午後3時〜午後4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講師:岡山大学医歯薬学総合研究科口腔機能解剖学分野・教授
       沢 禎彦 先生
    演題:ポドプラニン研究の新展開
    要旨:PDPNは正常組織では、リンパ管内皮、唾液腺筋上皮、胸膜や腹膜などの中皮、また骨細胞などが発現します。今回は、加藤研究室が開発したガン特異抗体LpMab-23が、組織学的悪性度YK分類などとともに、口腔扁平上皮癌の5年無病生存率の有用な予後予測因子である可能性について、札幌医大の宮崎晃亘准教授との共同研究を、また、骨芽細胞の骨形成が抗podoplanin抗体とCLEC2によって阻害されるという骨形成機構の新展開について北大の金井壮律助教との共同研究を報告します。

  • 第3回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成30年3月30日(金)午後5時~6時
    場所:東北大学医学部 5号館7階 リフレッシュルーム
    演者:微生物化学研究所 第1生物活性研究部 部長/沼津支所 支所長
       川田 学 先生
    タイトル:『低分子化合物によるがん-間質相互作用の調節:抗がん剤開発基礎研究』

    <要旨>
    がん組織はがん細胞だけでなく周辺の間質と混在する形で成り立っています。間質には様々な種類の細胞と細胞外マトリックスが含まれますが、私たちは中でも線維芽様細胞(間質細胞とも呼ぶ)に着目しました。なぜなら、間質細胞は分泌因子や接着などを介してがん細胞の増殖や転移を正にも負にも制御するからです。この間質細胞とがん細胞のやりとりをがん-間質相互作用と呼びますが、相互作用を調節することでがん細胞の増殖や転移を抑制できる可能性があることから、私たちは相互作用を調節する低分子化合物の探索を開始しました。従来の抗がん剤はがん細胞を直接攻撃するものですが、がん-間質相互作用を標的とした創薬は全く新しいタイプの抗がん剤の創生につながるのではと期待しています。本講演では、私たちがこれまでに発見したがん-間質相互作用を調節する低分子化合物とその作用機構の解析から得られた新たな標的分子などについて紹介させていただきます。

  • 第2回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成29年11月2日(木) 午後2時~午後3時
    場所:星陵会館2階・大会議室(医学部・生協の二階)
    講演者:北海道大学大学院 獣医学研究院 獣医学部門 病原制御学分野 感染症学教室 
        准教授 今内 覚 先生
    タイトル:『動物用バイオ医薬品の開発』

    <要旨>
     感染免疫・腫瘍免疫において病原体や腫瘍を排除する活性化リンパ球は、『免疫チェックポイント』によって制御され過剰な免疫応答が抑えられている。この免疫チェックポイントは、種々の免疫制御(抑制)因子によって制御され、恒常性が保たれている。しかし一方で、慢性感染症を含む難治性疾病では、種々の免疫制御因子の暴走が、病態の進行および維持に関連することが示唆され、感染細胞や腫瘍細胞が排除されない免疫回避機序の一因であることが示されている。このような慢性感染症や腫瘍疾患ではProgrammed death 1 (PD-1) に代表される免疫抑制受容体が、エフェクター細胞上で発現が上昇し、それぞれのリガンドと結合することでエフェクター細胞の免疫疲弊化を誘発し、細胞増殖能、サイトカイン産生能、細胞傷害機能を著しく低下させている。
     免疫異常(不全)を呈する動物の疾患は多いが、機序についてはほとんど明らかでない。我々は北海道大学に寄せられた家畜や伴侶動物(ペット)の臨床検体等を用いて、疾病横断的に難治性疾病の病態発生機序の解析を行ってきた。その結果、難治性疾病の病態進行にはPD-1などの免疫抑制受容体が深く関与すること、また、これらに対する抗体により疲弊化した抗ウイルス免疫、抗細菌免疫、抗リケッチア免疫および抗腫瘍免疫が再活性化され、難治性疾病の制御法として利用できることを明らかにした。現在、生体を用いた臨床応用試験を実施中である。また、我々が樹立した抗体は、他種に交差反応を示すことから動物横断的な解析(水牛、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコなど)も行っている。
     本制御法の特徴は、エフェクター細胞を標的とすることから細胞増殖能をはじめ種々のサイトカインの誘導および細胞傷害機能など多機能的な効果により抗病原体効果や抗腫瘍効果を発揮することである。ヒトでは、2014年に日本発の免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)として上市に至り、今なお種々の疾病に対する臨床治験が活発に行われている。今後、獣医療への応用も期待される。


  • 第1回 抗体創薬研究セミナー
    日時:平成29年8月4日(金)午後3時〜4時
    場所:医学部5号館7階リフレッシュルーム
    講演者:岡山大学医歯薬学総合研究科口腔機能解剖学分野 教授 沢 禎彦 先生
    タイトル:ポドプラニンノックアウトマウスの硬組織形態形成について

    <要旨>
    脈管系の病理組織学領域で長い間重要な課題であったリンパ管鑑別マーカーの存在の有無は、今世紀初頭のpodoplanin(PDPN)の報告によって新しい局面を迎えました。すなわち、PDPNの腫瘍および腫瘍線維芽細胞における発現と分子標的薬としての可能性、および正常・病理組織における発現の機能的意義の解明で、前者は加藤研究室が世界をリードし、私たち解剖学者は後者を研究しています。PDPNは正常組織では、リンパ管内皮のほか、リンパ節線維芽細胞、唾液腺筋上皮、胸膜や腹膜などの中皮、また骨細胞など様々な細胞が発現します。今回は、ジーンターゲティングによって開発に成功したpodoplanin全身KOマウス、およびフロックスマウスとWnt1-Creマウスを応用した頭部神経堤外胚葉由来細胞のPDPN cKOマウス(Takara, PLoS One, 2017)の形態について、骨におけるPDPNの意義に関する幾つかの所見を合わせてお話しさせていただきます。